2017年 11月 02日 ( 1 )

認知症は悲しいだけの病気ではない。

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昨日まで、夫の両親が千葉から郡山まで遊びに来てくれました。
娘が受験生になってから、
なかなかそちらに行けなくなってしまったからです。

母は、4年ほど前から認知症になりました。
要介護4で、施設で介護士さんのお世話になったりしながら
80歳近くなった父が介護しています。

もしかしたら私たちのことも忘れてしまうんじゃないか。
父はそんなことを思い、4時間ちょっとかかる道のりを
母を連れて一人で来てくれたのです。


認知症を患う以前の母は、本当に完璧な人でした。

盆暮れ正月にいけばたくさんの手作り料理が並び、
本当にひとつひとつが美味しくて、
つくり方や調味料、お鍋のこと、食材の下処理のことなど
たくさんのことを嫁である私に教えてくれました。
おうちでつくるプリンの美味しさや、
エビフライの海老をまっすぐ伸ばす方法、
圧力鍋の使い方も、20代の頃母に教わりました。

毎朝のトイレ掃除と部屋掃除は母が嫁に来てから
一度も休んだことがなく、
お風呂はみんなが入り終わってから自分が入り
裸のまま浴槽や鏡をピカピカにしてから出てきます。
どんなに遅くなっても、その日のうちに全てのものを洗濯し
干しておいた洗濯物は私たちが起きてくる前に
たたんで置いてあるのでした。

長年、医療事務の仕事をし、
病院立ち上げ当初は事務局長として働き
父が単身赴任の中、3人の息子を育て上げました。

カラオケが好きで、多くは語らないけれど
裏表のない、本当に粋な女性でした。
お母さんには本当にかなわないねと、
兄嫁といつも話していたほど。

晩年乳がんを患い手術した時も
こちらから手伝いに行きますと言ったのだけど
大丈夫、あんたは自分の子育てをしっかりやんなさいと言われて
退院後も父や兄夫婦にあまり頼らずに
自転車で放射線治療に行っていた話を聞いて
本当にすごい人だと思いました。



そんな母が認知症になるとは、その時は思ってもいなくて。
震災があり避難した私は自分たちのことで手いっぱいで、
来なくていいよと母に言われていました。

おかしいなと思い始めたのが、
やたらとモノを捨てたがっていた頃。
思い出の写真や、大切にしていたお洋服。
私たちの結婚式の時に渡した夫が生まれた時と同じ体重のテディベアも、
「これは捨てられないから」と私に返してよこしました。

お盆にも、正月にも、行っていいですかと尋ねると
体調が悪いから何もしてあげられないから
来なくていいよ、と言われて行かなかった年が3年ほど続きました。


子どももうるさいし迷惑がかかるからと
変に遠慮して行かなかったことを今は心から後悔しています。


母は、きっと自分が忘れていってることに気づいていて、
それを悟られたくなかったんだと思います。
しばらくぶりに行った実家には余計なモノが本当になくなっていて、
キッチンには母の字でたくさんのメモ書きがびっちりと貼られていました。
空けて途中まで使ったラップやビニールの箱がたくさんあったり、
必要以上のスポンジや石鹸が出ていたり。
あぁ、忘れてしまっているのだな、と初めて気づきました。



しっかりしていた母が、攻撃的になったり、わぁわぁ泣いたり、
今まで感情をあまり見せて来なかった母が壊れていくようで
悲しくて悲しくて家族がきちんと受け入れるまでかなり時間がかかりました。

特に、介護をしていく父が現実を受け入れるまで、
正直大変だったなぁと思います。
家族で何度も何度も話し合って、
時にはぶつかりながら気持ちを伝えて、
他の手を借りながら、父は今も本当に頑張っています。



今は薬で感情をコントロールされていて、
郡山について、私の顔を見て、孫の顔を見ても動かなかった母の感情が
息子である夫の顔を見た瞬間にばーっと噴出しました。
母は、「おもいがけず会いたかった人に会えてうれしいよ、うれしくてうれしくて」
そう言って夫にすがり、わぁわぁと泣きました。

あぁ、母はやっぱり母なんだなぁ。
私がもし将来認知症になって、久しぶりに息子に会えたら、
きっと同じように、嬉しくて泣くだろう。


月曜日から2泊3日。
母からもらった圧力鍋でチャーシューと芋煮をつくって、
母からもらったプリンカップでプリンを作って、
母に教えてもらったにんべんのつゆで玉こんにゃくを煮ました。

いつも食べないんだけどと父がびっくりするくらい、
たくさんおかわりしてくれて、
たくさんの愛を夫と私と子どもたちにくれた母に
ちょっとだけ恩返しできた気がして。
遠いところ連れてきてくれた父に感謝です。


感情を出さずに、ずっと我慢してきた母が、
認知症になったことで喜怒哀楽を表現できるようになったんだな、
なんだかしっかりしていた母がとてもかわいい女性だなと
今回はじめて思えました。


認知症になったのは、母にとっては悪いことではない。
介護している父は本当に大変だと思いますが、
父の膝枕ですやすやと寄り添って寝ている母の姿と
それを愛おしそうに見つめる父の顔を見て
夫婦って深いんだなぁと学ばせてもらいました。


夫が一言。
俺たちが自分の両親にしてきたことは、子どもたちの当たり前になる。
だって俺はお前がうちのかあちゃんみたいになったら
オヤジと同じこと出来ると思うから。


そしてまた泣く。
トシのせいにしときます(笑)。




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by mikttymama | 2017-11-02 11:39 | 考えること。 | Comments(0)

福島の小さなお料理教室CookingStudio I-e(イーエ)のうちごはん。


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